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(レポ)高森信子先生講演会@安曇野

家族SSTに取り組まれ「あなたの力が家族を変える」「マンガでわかる統合失調症、家族の対応編」などの著書でも有名な高森信子先生の講演が三郷にに八の会主催で安曇野であったので言ってきました。

高森先生は86歳もの高齢なのに、お元気。パワフル。「はっ、はっ、ほほほ」の笑いヨガのサワリの紹介もあり、笑いあり涙ありの講演でした。
前日には当事者のグループでのSST、そして午後には家族支援者のグループでのSSTも開催されたようです。
講演の内容の一部をシェアします。

まず、なぜ家族を重視するかと言うと「本人を元気にして変えようとするより、家族が変わるほうが早い」から。
家族に、それを言うと、こんなに苦労してくたびれ果てているんです。「さらに私に変わるっていうんですか・・。」という人もいるといいます。でも、これまで家族がよかれとおもったことがあっていなかった。家族が変わるというのはどういうことか理解することが必要です。
SSTは本人を変えようと道徳を教えるのではない、対話のコミュニケーションを下から支えるためにあります。

まず斎藤環先生や高木俊介先生らが日本に紹介したフィンランドのオープンダイアローグの紹介がありました。
(斎藤環先生は3月18日に安曇野3月30日に松本に講演に来られますので聞いたことのない方は是非・・。)

さて、精神疾患(ここでは統合失調症)当事者はストレスを感じやすい敏感な人たち。家族の力関係がある中で一生懸命でも言葉で治そうとすると余計こじれてきます。叱咤激励では治りません。
本人が、 できないことをなんとかできるようにしようというのはすごいストレス。それよりもできていること、できることをもっともっと褒めながら増やしていくことが大切で、 そうすると病気の分量が減ってきます。

残念ながら我が国の今の精神医療は玉石混交であり、対話を重視して環境づくりから薬はなるべく少なくという医師がいる一方、拳銃をもたせろという精神病院協会の会長のような医師とそれを望む家族がいます。
しかし、この病気の人は変な先生(親子関係)にあたっても、変化するのが怖くて、なかなか変えられないといいます。

さて、特に親子ではどのようなコミュニケーションが大切なのでしょう。

「あなたは私にとって大切な人、宝物だと伝えましょう。」
こういうと、「私は親から言われていないので、私は言えません!」という親も・・。親も人生を振り返り癒やされる必要があります。

「人にはできることとできないことがあります。」
何歳だからできるはずと期待のラインでもの言いをするのではなく、相手の目線に合わせて現在位置を確認しましょう。

「思春期は親離れの葛藤の時期です」
思春期は親を乗り越えたい時期。当事者は思春期がエンエンと続いている。親は寂しいけど先に子離れする自分を育てましょう。要は、自分の思い通りに仕切らないことです。盆栽みたいにしていると子どもにとってはストレスの塊。対話と本人の意思決定が重視されるフィンランドと逆ですからストレスは多いでしょう。

良いコミュニケーションとは、相手の気持ちがわかり、そして自分の気持も言えて、より生産的な関係になることを言います。とことん聞いて先ずは相手の気持ちの分かる人になりましょう。(とことん聞くことと同意するということとは違うことには注意が必要です。)

家族は常に当事者に「本当の親じゃないじゃないのではないか?」と絶えずものさしで測られています。
当事者の方が家族の言葉の何が嬉しかったかと聞くと「一緒に雨に濡れてくれた」ことが嬉しかったと。「いい傘を渡してくれる」のはその後でいいのです。アドバイスや意見を言うにしろ、まず十分に受け止めてからということが大切です。

主に精神疾患(統合失調症)の家族会を中心にお話されている高森先生ですが、発達障害や認知症などでも共通な人と人とのコミュニケーションの基本を述べられているように思いました。

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