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(レポ)知ったつもりの発達障がい 〜伝えあおう わかり合おう〜 ④ 当事者体験談レポ/成人当事者編

こんにちは。上間春江です。
書いても書いても終わらない、「知ったつもりの発達障がい」レポ。
たった2時間の中で、いかに密度の濃いお話だったか、・・
レポを書きながら改めて感じております。

ラストのこの記事では、
知ったつもりの発達障害 
〜伝えあおう わかり合おう〜の当事者体験談のうち、

「発達障がいの診断をもつ2名の成人当事者さん」の
お話の様子を、レポします^^

**

保護者の立場からのお話のあとは、
成人当事者の方のお話が続きます。
成人当事者の方のお話は、上間からのインタビューで、
質問に答えていただくかたちで進めました。

お一人目は、上村聡美さん。

「発達障害あるあるラボ」の立ち上げメンバーでもある上村さんは、
認定カウンセラー資格を持ち、
塩尻市を中心に、発達障害の当事者の方の支援をしていらっしゃいます。

上村さんは、カウンセラーの勉強中、
発達障がいに関するビデオを視聴したことをきっかけに、
自分にぴったりの症状があると気づき、
受診したところ、ADHDとアスペルガー疑いという診断がついたそうです。

まずは、そんな上村さんが、
どのような困りごとがあるか伺っていきました。

上村さんの場合、困っていることは、主に3つ

1つめは、
「すべての音がまざって聞こえてくる」こと。

2つめは、
「短期記憶」が苦手で、短気記憶も苦手で、
言われたことをすぐに記憶できないこと

3つめは、
「みんながわかるような暗黙のルールが、
なかなか理解できないこと」

です。

このような困り感をもって生まれた上村さん。

とにかく、子ども時代には、

「いじめられて嫌われていました」

これは、困っていることの3番目と関連するのですが、
暗黙のルールが理解できないために、
ご本人には悪気のない行動で、
対人関係のトラブルにつながってしまったようです。

また、親御さんの理解もなかなか得られず、
ご両親から、とても厳しい言葉を浴びせられていたようです・・・

聞けばきくほど、切ない子ども時代を過ごされた上村さん。

いつしか

「自分は、憎まれるために生まれてきた」

というイメージを心の中に強くもってしまったようです。

そうなると、ご自身の言いたいことをまわりに伝えることができず、
コミュニケーションがうまくいかないことが起きていったようです。

思い返せば、理解してくださる人もいたものの、
そういう方に出会うと、嬉しさのあまり、
「いっぱい話過ぎてしまい」
いい塩梅の距離感をもつことが難しかったようです。

たくさんの辛さを体験しつつも、
「発達障害あるあるラボ」を立ち上げ、
同じような境遇の人たちを支援していらっしゃる上村さん。

最後に、
発達障がいの特性を持つ立場から、
どんなサポートがあると生きやすく生活できるのか、
尋ねてみました。

かえって来たお答えは・・・

「自分をそのまま受け止めてくれる人」の存在

でした。

発達障がいの方は、悪気なく、
みんなとずれたことをやってしまうことも
あるかもしれないけれども、
そこを含めて受け止めて、
軌道修正や納得できるような指示を出してくれるなど、
丁寧にこだわりをほぐすようなかかわりがあると
過ごしやすい、とのことでした。

まさに、前半の樋端先生の主張である

「個別に配慮された丁寧な環境」

に、つながる論点です。

障がい特性を持つ人たちの
「感じ方」「理解の仕方」を理解しながら
「努力」や「根性」を一方的に押し付けるのではなく、

凸凹のままでも過ごしやすくなる「創意」と「工夫」が、
相互に求められるのだなと考えさせられます。

**

そして、当事者の語りのラストを飾るのは、
木村あきらさん。

ADHD,ASD,LDの診断を持つあきらさん。

それぞれの障がい特性ゆえに、
日常では、困り感がたくさんあるようです。

例えば、

ADHD特性からくるものとしては・・・
・単純な仕事は、あきやすく落ち着きがなくなる
・衝動性が強く、上司と衝突しやすい
・あきると途中で、気になることをしはじめる

ASD特性としては、
・暗黙のルールがわからない
・話の全体の内容よりも、細部のキーワードが気になり、話の筋が理解できない
・矛盾したことが苦手
・納得しないと動けない
・おかしいと思うと、どんどん質問する
・忖度、謙遜、遠回しの表現がわからない

LD特性としては、
・板書が苦手
・聞きながら書くことができない
・映像思考(聞いたことを、映像にしてから文字にする)
⇒イメージできないものは、返還できず、混乱する
・読み書きが苦手
・文章を見ているとチカチカ動く
・ノートの線が浮き出るなど、読みにくい

原稿。時間不足で飛ばしてという事態にパニックに
フリートークのほうが得意だったかも

こうした障害特性を聴いているだけでも、
あきらさんが、普段どのように物事を感じ、
処理しているのか・・・
独自の世界を生きるあきらさんの様子が
イメージされます。

と同時に、そのような世界で生きるあきらさんが、
とっても困難を強いられることが、
容易に想像できます。

しかし、悲しいことに、
あきらさんの子ども時代は、
理解者になかなか恵まれなかったようです。

お父さん自身も同じような特性があるために、
よく言い合いになり、
おかあさんとは悪い関係ではなかったものの、
世代的に、「障害」というものへの偏見が強く、
ご自身の特性を理解してくれる、
という環境にはなかったようです。

また、学校での理解もなかなか得られず、
特性からくるできなさについて

「ただただ、叱られることが多かった」

とのこと。。。

曲がったことが大嫌いなあきらさんにしてみれば、
ご自身にも理由があっての行動が
理解されないことが、どれほど辛かったか・・・

時には、
「自分は悪くないのに」と思いながら
教室を飛び出すこともあったそうです。

とはいえ、先生の中には、
ちゃんとあきらさんの言い分も聞いてくれた先生もいらしたそうで、
そのような先生が担任だったときには、
とても過ごしやすく生活できたようです。

南沢さんや上村さんのお話とも通じますが、

やはり、「あきらさんの立場に立った理解」を
してくれる方がいるのか、いないのか・・・

これにより、発達障がいを抱える人の
過ごしやすさには、大きく影響することが窺えます。

さて、そんなあきらさんのお話、
まだまだレポしきれない様々なエピソードがあったのですが、
ここでは、最後に、あきらさんからのメッセージを
お伝えして、しめたいと思います。

ずばり、最後に伺ったことは・・・

「発達障害のある人の周囲にいる人に伝えたいこと」

です。

あきらさんのお答えは、こうでした。

「障害特性によりできないことは、
ただ怒られるだけでは、恐怖感が残るだけで、
決してできるようにはなりません。

また、できないからといって、代わりにやるだけでも、
できるようにはなりません。

では、どうしたらいいのか?

できないことがあったとしたら、
なぜ、できないのか?
そこには、必ず理由がありますので、
その理由を突き止めた上で、
「こうすればいいんだよ」と具体的に
やり方を教えて、できるように導く。

こうすることで、できないことでも、
できるようになります。」

何度いったら、できるようになるの!?

ついつい、わが子とそんなバトルになってしまうお母さんは、
あきらさんのおっしゃるような視点で、
お子さんんことを見返してみると、
何かヒントが見えてくるかもしれませんね。

子育てにも通じる大切な点を
教えていただけたように感じました。

**

ということで
4通にわたったレポ記事が
ようやく終わりました。

当日来れなかったかた、
少しでも雰囲気が伝わっていれば、うれしいです。

**

【この記事を書いた人】

上間春江(臨床心理士)

虹のかけはし/子どものミカタプロジェクト代表
https://happy-mirai-create.jimdo.com/

ブログ
https://ameblo.jp/happy-mirai-create

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