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(レポ)映画”オキナワへ行こう!”&トークライブ

3月16日に塩尻えんぱーくで、あったかユニットほくほく堂さんがプレゼンツするオキナワへ行こうの上映会と精神医療に関するトークライブがありました。複数のあるラボのイツメンもパネラーとして登壇。

しかし、えんぱーくやっぱりいいですねぇ。
常にいろんな催し物が開催されおり、混じり合えます。休日に何はなくても来たくなる施設です。

さて、この国では理解できないものは怖い、見えない場所へ押しやって無かったことにということで、戦後、医療でも福祉でもない劣悪な収容施設となった精神病院に長期入院という形で隔離され、人権侵害されてきた人たちがいます。そして、いまだにこの国には約35万床、全世界の2割の精神科病床があり、それは続いています。
どう考えても多すぎる。

そんな環境に隔離され自由を制限されてきた人たちにとって病棟からただオキナワへ旅行するということひとつでも大変・・。そんなドタバタや周囲の人を精神科病院をたくさん取材し、そこで暮らす人の写真をたくさん撮ってきた写真家 、大西暢夫さん撮影した映画です。

当事者、医療者、病院を出た人、オキナワの人など様々な人の語りでつなぐ、暖かくユーモラスだけれどいろいろ考えさせられる映画でした。

悩んだ末、病院から地域に出て、精神障害を持つ人が何はなくても寄りつける、地域の人とまじりあえるカフェを営む元看護師さんが「お世話をしすぎちゃったのよね」と言っていたのが印象的でした。

トークライブでは様々な病院での入院の体験を語られました。そして精神医療のたどってきた歴史、措置入院と任意入院の間の医療保護入院という曖昧な制度のおかしさなどについての解説もあり理解を深める事ができました。

またフロアからも、親や周囲に理解されず押し付けられストレスを受け続け暴れたりひきこもるという形でしか表現ができなかった当事者としての思い、対話がなされないことからあわや暴れた子どもを長期収容させてしまうところであった親としての思いや体験が語られました。
(トークライブは思いがけずフロアから素晴らしい発言が出ることが多いです。拍手が巻きおこっていました。)


そこには対話がないがために、親や世間、周囲の都合で、理解できないものとして医療?に丸投げされ、医療でも対話がないままに隔離や拘束されている事態がありました。
対話されないなら理解できないのもあたりまえ。
そして社会の厳しさが、弱い方へ弱い方へとハラスメントが流れていくのも社会の縮図です。

不安や孤独、混乱の中にいて一番そばに居て欲しい急性期に隔離、拘束で放置される一方、自ら選択して選び、葛藤や失敗も含めて引き受けさせて欲しい時期に余計なお世話をされて自由を制限される。
これは、どちらもひどい人権侵害で、医療と福祉の貧困、そしてアベコベぶりが現れています。

また国が役割を果たさず、低廉劣悪な民間病院に人権制限を伴う精神医療を任せてきた過ち、そして、それを良しとしてきた国民がいました。
この問題を皆に考えてもらうため国を相手取り集団訴訟も準備している団体もあるようです。

薬物療法を始めとした精神疾患への治療技術の進歩や地域の理解や支援がすすんだことで、消えていくべき劣悪な精神科病床に、今度は認知症の方が集められ、今度は理解できないものを排除してきた人たちが自分たちが排除され、隔離されるという悲劇(喜劇?)がうまれています。

ただ、希望もあります。
その構造に気づき地域に出ていく医療者も増えてきています。まだまだ少数派の存在ですが。
そして、こういった会もそうですが、当事者が声を上げ市民とまじりあい対話する場が増えてきています。
どのような地域社会、それを支える福祉と医療が必要なのか、みんなが自分ごととして考えることが必要です。

まだまだ道のりは長いですが、人権をベースとした福祉があり、それを支える医療がちょっとだけあるというバランスがいいかなと思いますね。

ほくほく堂さん、良い企画にお誘いいただきありがとうございました。

(はぐれドクター)


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