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今日は佐久の臼田あいとぴあで開催された信大付属病院 子どものこころ診療部医師の樋端先生の講演

「発達障害者のいない組織は滅びる」

~オモロイ感じの子をエエ感じの大人にする方法~を聞きに行ってきました。

会場は120名もの方々で満員御礼状態。さすがは樋端先生。人気あります。

先生の講演は切り口が斬新です。発達障害にネガティブなイメージある人いますか?数名の方が手をあげる。ネガティブになる理由として大人になった時の対処法がわからない、周りに協調できなくて苦しい思いをするなど。世の中の多数で求められてきているのは、場の雰囲気を読む、指示に従える。周りがそういう流れだからそうするのが当たり前。大人になるってそういうこと。流行語にもなったいわゆる忖度というものです。発達障害の人に忖度は通用しません。

定型発達の人の焦点と発達障害の人の焦点はそもそも別物なのです。ASD者は組織や社会集団の辺縁に存在し、自然の中で自分たちがどう生きていくかに思いを巡らしたり、職人として技を深めたり、アートで表現したり、異文化を繋いだりして人類の繁栄に貢献してきました。またADHD者は今この瞬間を生き、飽きっぽく、ひらめきすぎる。彼らは退屈な環境ではミスを連発するが、獲物を求めて冒険に出たり、開拓したり、想像したり、あるいは危機的な状況の時に力を発揮し、集団を救ってきました。彼らが居なかったら現在のようなSNSの普及には至らなかったでしょう。発達障害者はなぜ生きづらいのか?どう育てれば良いのか?どう生きれば良いのか?合わない環境、生き方は二次障害を引き起こす要因になる。適切な関りがなされないと、ひきこもりや、行動障害を引き起こす。発達障害の子どもの関り方のポイント。

・好きと得意を大切に

・苦手克服に拘らない

・伝わる方法でコミュニケーション

・多数派の流儀を押し付けない

・最低限の発達保証は意識

・スモールステップ

・親は思春期以降は子離れを

・支援付きの試行錯誤を。

早くから周囲が気づいて応援団になることの必要性(丁寧な子育て・親支援)十分な知識と余裕をもち、コミュニケーション方法を工夫して本人の気持ちに近づく。親・教師・支援者との相性(これは避けて通れない課題の一つでしょう)。

ASD者は拘りをマネジメントする、ADHD者は特性を知り工夫できるようにする。共通して言えることは「努力や根性では無く創意と工夫」。維持したい暮らしがあるとルールを守る、ルールを守ることで守られることを学ぶ。視覚的、具体的、肯定的に説明して先ずは同じスタートラインに立てるようにする。障害者差別解消法の合理的配慮でそれぞれにあった学びのスタイルを導入する。社会の中で生きるには自分でやれること、やれない事の見極め、ルールを守りやれないことは他者に相談して援助を求めることができる、天才だから仕方ないと仕方ないと周囲に諦めてもらうのか、対話で合理的配慮を得ていくのか、相補的なパートナーを見つけるのか、福祉的支援を得るのか。様々なスキルが求められるところです。

思春期以降は子離れするという子育て。親が先回りしない。進路は自分で選んで進む方向を決める(問題点は受け皿になる学校が少ないということ。本人に選ぶ余地が無いというのが現状)。課題の多い思春期を伴走し接続を丁寧に。サードプレイス・アフタースクールの充実を(地域での就労体験・余暇活動支援・性の包括的健康支援など)思春期で大事なのは親は徐々に手をひいて、自分で試行錯誤して選択する力、本人がやりたい事を出発点にする、一定のラインは親がひくが後は自分で。好きなことをやって生きる人が増えると世の中の流れが変わっていくのではないか?

樋端先生の通知表も織り交ぜながらユーモラスな二時間の講演。参加された方々はポジティブな気持ちで帰っていったことでしょう。

次回はたこ焼きを食べながらの講演を予定されているようです。こちらも楽しみですね。

今日は2015年にオープンした安曇野市のフリースクール ひかりの学校を見学してきました。
高林先生は東京都出身。児童養護施設、公立小学教員、養護学校教員を経て
ひかりの学校を立ち上げました。
コンセプトは「生きていることが心の幸せ」。
高林先生が目指すのはインクルーシブ教育です。年長~中学2年生まで様々な子供達が一緒に学んでいます。聴覚・感覚な過敏な子供、学校に行けない子供達。
そんな子供達が生き生きと学べる環境作り。
フリースクールだからと言ってカリキュラムが無い訳ではありません。
カリキュラムはあります。
でも義務教育と違うのは「子供がしたいことを中心に考える」ことです。
読み、書き、計算やります。
でも押し付けるやり方はしません。
子供が勉強の楽しさを知る事が大事なので、
子供のやりたい事を中心に考えます。
音楽は簡単に面白く、体育は公園で先生と鬼ごっこ。
先生と子供が一体となって楽しく学ぶのが高林先生流です。
今の教育で大事なのは
「勉強の量を減らすこと。ペースを落とすこと。子供の気持ちを尊重すること。」
本当にその通りですよね。
人生は長いからやり直しはいつでもできるよ。
命があるだけで良い・・・命が無くなってしまったらやり直しすらできません。
全部の子供が学べる社会にしたいという熱い先生の想いは
現在県外からの問い合わせも多いそうです。
子供達の目がキラキラ輝いているひかりの学校。
先生ってもっと身近な存在で無くてはいけませんね。
こういう学校が今後増えていく事を期待します。