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「発達障害者の理解と対応について」
講師は国立重度知的障害者総合支援施設 のぞみ園 日詰正文先生でした。
冒頭からケースのお話し、本題に入るまでに数十分。癒しの声色にもってかれる(笑)
ご本人も「眠気を誘う声なので、寝てもらって構いません」とおっしゃられスタート。
時折ワーキングを交え、終始和やかな雰囲気での研修でした。具体的で実践的な内容に大満足しました。以下レポです。

[現状と対応について]
・発達障害ということば自体の認知度は上がってきたが、実態を知らない。
・発達障害と診断された場合に「残念ですが」といういい方は絶対しない
「特性を知って前向きに生きていきましょう」
・かっこいい当事者のエピソードを語る
ADHD、ブレーキがかかった瞬間に褒めること、これは依存症の対応と同じ。
・障害者虐待対応、叩く瞬間に止める練習をする、止めてもらう練習をする。
・「こだわり」の強さ、以前に成功した方法をやり続ける、違う方法の提案=修正
発達障害児者の視野について、中心よりも周りがよく見える=周辺視野の拡大。物が
見えすぎて困る。音が入りすぎる、物が見えすぎる=注意を向けられずに困っている⇒環境調整を。
・専門職はいま上手にできている人を褒めること、すなわち知識を持つこと。
・情報量が多くて困る、うまくいった体験を繰り返す、前やってたやり方にこだわる⇒
選択肢を増やすこと。叱るだけではなく、○の台本を練習する。
・SST、機能分析の難しさ、失敗しそうな場面ほど練習が必要。
・強度行動障害:スタッフが同じことをする、一貫性をもたせる

[課題]
・学校でやっていることがその先につながっていない。学校と企業・病院の連携をもっ
と密に。何もすることがない時間に不安になり暴れる、日課を組み立てるなど学校の先
生が知っている。このあたりは文科省に提言している。
・家族へのアプローチが医療ではしづらいので福祉サービスの中で。
・病院に訪問してコミュニケーションがとれるように予算化された(重度訪問介護)福祉との連携を密に。

養護学校を卒業した子供達はどんなところで働いているのでしょうか?
今日は安曇野市にある二つの会社を見学してきました。

先ず最初に向かったのは株式会社 アストコが運営している今年三月に始まったばかりの「エコミットあづみ野」さん。

ここは就労継続支援B型事業所(一般企業で働くのが難しい方)です。
10代後半~60歳後半までの身体・精神・知的・発達障害の人が働いてます。
勤務時間は9:30~15:30までの4.5H。無理なく働くが売りのこの就労先では週2~3日や午前中のみという働き方が選べます。
毎日通所し作業に取り組んだ場合工賃は月最大約3万円になるそうです。
作業内容はパソコンの解体・金属のピッキング。施設外就労としてもったいないボックスの清掃・野菜加工・デイサービス敷地の清掃を行っています。
仕事内容については適正を考慮してローテンションを組んでいます。

アストコさんはエコミットあづみ野以外に就労移行支援事業 ブライト、働き方改革支援事業 サテライトワークも運営しています。

サテライトワークは法律で求められている「雇用、就労時における合理的配慮」をどのように達成するべきか、障害者雇用企業の困りごとの解決、障害者に
とって働きやすい職場創りをサポートしています。

ブライトでは障害者一人一人が、自分自身を理解し、自分に最適なカリキュラムを通じて、適切な就労に繋げる橋渡しをしています。

ブライトまつもとには研修工場があります。リサイクル(パソコンの解体)の仕事を教材として取り入れ、働くために必要な事を学ぶことができます。
基礎訓練では集中力・器用さ・作業効率・自信をつけます。
応用訓練では実際の仕事で求められる、指示の理解、判断能力や粘り強さを育成します。
業務上でも最も求められる報告・連絡・相談(ホウレンソウ)・ルールを守り働く力・安全に生きていくための力を身に着けます。

ブライトまつもと サテライトでは専門講師を招いての本格的な講座と、スタッフによる就職に役立つオリジナルカリキュラムを実施しています。
自分の興味のある講座から始めて、徐々に興味の幅を広げていくことができます。
ここではパソコン訓練(Word・Excelなどの基礎から応用まで)、キャリアコンサルタントを招いてのコミュニケーション訓練、松本大学准教授を講師にむかえてのビジネスマナー、ワークサンプルを活用しての作業訓練を受けることができます。

会社の使命として掲げているのは「明日輝くところを作る」。その通り活気ある就労先です。

二つ目は株式会社 ちくま精機さんです。
障害者雇用をしている創立50年、従業員148名の中小企業です。
部品を作る部署と製品を作る部署に分かれています。
本日は自社ブランドの生ごみ処理機のラインを見せて頂きました。

会社理念は「ANSINKAN」を提供する綺麗な会社。
ここで言う安心感は福利厚生・製品・納期・仕事環境です。
そして綺麗な会社(製品・経営・気持ち・社屋)に力を入れています。

就業時間は一日8時間。週5日の出勤です。
ブラザーアシスト制度(新入社員に先輩社員が一対一に着く)を導入して、一カ月ごとに問題点の洗い出し、対策会議をします。
コミュニケーションに不安がある人には教育計画を立て、皆が情報の共有をします。
そして一年後には独り立ちしていきます。
挨拶はもちろん、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)、五分前行動、休日はしっかり休み、休み明けに備える。
そして一番は本人の頑張りが成長となります。

今まで就労先とはイメージが違い、支援する方も働いている障害者も明るく楽しい感じがしました。
障害者の仕事は兎角3k(キツイ・汚い・暗い)のイメージが強いですが、明るく清潔感溢れる社内は新3k(きつさ、気配り、綺麗)これからの就労先のあるべき姿だと思います。

養護学校高等部3年になるとアセスメント実習が始まります。
沢山ある就労先の中から子供の特性にあった就労先を見つけ出さないといけません。
ここで大事になるのは母親のぶれないモチベーション、選んだ理由をきちんと計画相談の人に伝え一緒に考えることになります。本当ならいくつもの就労先でアセスメント実習ができれば良いのですが、現段階ではそれは受け入れする就労先側の問題、本人への負担を考えると無理な状況です。
将来的にはアセスメント実習した中から視覚支援カードを使いどの仕事がやりたい?と本人が自ら選び決められるようになると良いですね。

今回訪問した二つに共通していえることは皆が楽しく働いていることです。
今後障害者も日々輝ける企業が増えていくことに期待します。

 

「発達障害児の偏食について」松本管内保健師・管理栄養士会合同研修会に参加してき
ましたのでレポします。講師はNPO法人未来の風 理事長 北野とみ江先生でした。

偏食への対応は食にとどまらず、その子の生きにくさ、特性に合わせた様々な工夫をし
続け、安定した生活を作ることである。それができるように親、家族を支えることが、
その子に関わる支援者がしていくことである。全体の中に「食」がある。「食」につい
ての課題が解決すると全体へつながる。うまくいったという体験を児だけでなく、母親
にも持たせる、そしてそれを応用していくことが大切。発達障がいを持つ子供達の特性
を多面的につかむことが大事!

偏食=感覚(味、食感、温度、臭覚の過敏さと鈍感さ)の特性+こだわり行動

感覚特性については、本人しかわからない辛さがある。例えばご飯を食べても砂を食べ
ているような感覚。無理して食べさせず、スモールステップで食域を広げる事。離乳食
で食べれていたものは、食べられるようになる。食域が広がるのは長期間かかるので、長い目(8~9年かかることもある)でみること。
※ちなみに私の次男(中度知的+自閉症)は食に関する感覚は鈍感で、偏食については困らなかったです。未経験の物は食べないくらい。ただし、食事のマナーについては課題が多くあります(^_^;)
一緒に療育したお友達はカレーはルーと米を分けて食べるとか、飲み物はまぐまぐでしか飲めないとか、食べ物は野菜ジュースのみってお子さんもいました。

【具体策】
・保育園と連携して、食べられたものは保育園のレシピ通りに作る。
・視覚優位の児が多いので、ポテトサラダのようなごちゃ混ぜになった料理は苦手、料理の正体を知らせるために、この料理にはこの食材が入っていることを視覚支援(イラストにする)するなどの工夫をする。
・ひと口食べたら動くような遊び食べをする場合は、「もうおしまいにするんだね」と言って片づけてしまう。
・臭覚過敏の場合は、隣の席の食べ物の臭いが気になることがあるので、机を離すなどの環境設定を。
・パターン化したらきちっとやれる児が多いので、習慣化されるまで親が頑張る。

実は北野先生は子どもを療育してくれた先生で、久しぶりに逢えてうれしかったです。愛があるんだよな~。

最後に北野先生より、支援者として、母親を孤立化させないこと、誰に言えば助けてもらえるのかを伝える事。支援者が分かっていることは点でしかない、成人になってしまった発達障害当事者に幼児期にどうして欲しかったか教えて欲しい。家族が抱え込まずに外に発信していくこと、困った事は困ったと言えることが大切であるとのお話しでした。

あるラボの意義ここにあらん!!みんなつながっていくよ~♪

(ひろりん)

9月17日、13時30分〜15時30分

塩尻の元気っ子講演会

会場、塩尻市民交流センターえんぱーく多目的ホール

「発達障害のある子の育て方のコツ」

演者、信州大学、本田秀夫先生

↑クリックで詳細

(一般市民の参加可能ですが、こちらは申し込み制のようです。参加希望者は主催者に聞いてみてください。)