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(レポ)性同一性障害の現状と課題

安曇養護学校の寄宿舎で企画された LGBT啓発講演家 長岡春奈さんのお話を聞いてきました。座って辺りを見回すと先生ばかり。発達障害に関係無いから、皆さん関心無いのか?いえいえ、話の内容はとても興味深く、ダイバーシティ社会とは何か?を改めて考えさせられる時間でした。

春奈さん今年50回目、最後の講演はお母さんと一緒。何とも微笑ましい光景です。

春奈さんが身体の性別と心の性別の不一致と気づいたのは保育園の頃。その当時は性同一性障害という言葉すら誰も知らない時代。どうして自分に男性性器があるのだろうか?どうして自分はスカートを履いてはいけないのだろうか?誰にも理解されない苦悩、いじめ、自殺未遂。

現在日本の人口の7.6%、LGBT推定人数は13人に1人。性同一性障害の人は身近にいるのです。あなたの職場にもいるけど、気が付かないだけかもしれません。差別用語、気軽に使ってませんか?キモイ、ハゲ、デブ、これも全部差別用語です。これを機に覚えておきましょう。

ここでいじめについて触れたいと思います。2017年 文部科学省調査では小学校 約31.7万件、中学校 約8万件、高校 約1.5万件、その他約0.2万件。いじめの種類では からかい、悪口、脅し 約78%、軽い暴力 約18%、パソコン・スマホの誹謗 約4%。自殺の割合は小中学生が断トツ。長野県の特別支援学校でも36件報告されています。

言葉やネットで人を殺せる(自殺に追い込む)時代になってしまっているのです。春奈さんは「おとこおんなだ」「物を隠される」

いじめ、差別、偏見、身体の性別と心の性別の不一致、自分が学校で生活したい性別で暮らすことが出来ない辛さ、周りからの圧力、人から受け入れてもらえない・人から理解されない切なさ、誰にも相談できない孤独感。

中学校の時の担任の先生からの一言「そう、人は一人じゃなければ生きていけるんだ!進路は一緒に考えていこう。」その言葉に救われたそうです。春奈さんは担任の先生のアドバイスで高校生活では性別を意識することなく過ごせた。何でも話せる女友達は心から理解してくれた。春奈さんは一人では無くなったのです。

父親の死から数年後、性同一性障害の治療を開始する決断をした春奈さん。母親に話をした時お母さんはとても驚いた様子でしたが「女になっても自分の子どもであることに変わりは無い。母と娘で今まで以上に仲良く過ごしていきましょう」と涙を流して理解してくれたそうです。寛大な心のお母さん。身内に理解されること。これ意外と簡単なようで難しい問題だと思います。

障害を理解するとは? 個人や集団間に存在する様々な違い、すなわち「多様性」「個性」だと認識する。
みんな違ってみんな良い!

国籍、文化、宗教、肌の色、障害者、男だ、女だ、LGBTだなど。みんなで共存することで、学校生活を楽しく過ごし、社会においては個々人が最大の能力を発揮することができる。

今の日本はダイバーシティ社会にはまだまだです。発達障害の認知度は高まりましたが、理解はまだまだです。凸凹のある子の凸を伸ばし、生かして有能な人材としてこれからもっと社会で活躍していけるような環境作りが大事だと思いました。

松本市の委託職員として働く傍ら、小中学校を中心に積極的に啓発活動をしている春奈さんはとても輝いていて心から美しかったです。

皆さんも機会があったら是非講演会へ足を運んでくださいね。

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