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秋の恒例、池田町にある安曇養護学校のとんぼ祭りが開催されます。

一般公開は10月13日(土)です。
養護学校ってどんなところ?という方。お子様連れの方など是非ご参加ください。

 

昨年、参加しましたが寄宿の公開、作品販売、展示、ジャンボすべり台などイベントも盛りだくさんで楽しめました〜。

大町市周辺で、ゆるったりと、すてきな仲間と、まったり ほんね の話し合いができる場を毎月維持している、ゆるすまほの会という会があります

”10月6日に大町市高瀬渓谷にハイキングに行きます。興味あるけど行く機会が無かった方やマイペースに自然を散策したいけど1人だと不安な方、障がいの有無問わず様々な立場の方のご参加お待ちしています。
詳しくはゆるすまほの会フェイスブックもしくは、yositosi1123@yahoo.co.jpまでお気軽にお問い合わせ下さい。
皆さんのご参加まったりお待ちしています。”

とのことです。


ゆるすまほの会には私も何年か前に参加させていただいたことがありますが、配慮された場が4年間、ほぼ毎月継続されており(すごい!!)、大北の方で、ちょっとそろそろ家から一歩踏み出て話してみたい、相談してみたい、聞いてみたいという場がほしいなという方に最適とおもいます。

気になる方は小林さんに連絡をとってみてください。

(といぴ)

長野県LD等発達障害児者親の会「よつ葉の会」主催の勉強会の案内です。

「発達障がいと不登校」がテーマです。この二つはもはや切っても切り離せない感じですね。

残念ながら望月青少年自然の家で10月28日29日と行われる”長野不登校を考える県民のつどい”とかぶりますが、望月までは遠くて行けないという方、発達障害と不登校に関心のある方はどうぞ〜。(はしごも可能?)

秋はイベントが多いですね。

映画「みんなの学校」、特に大人、みんなが必見のドキュメンタリー映画です!

この映画はDVDでの販売、安価なレンタルなどもなく、こういう自主上映会でしかみることができません。
オッキーさん、安曇野で2度めの上映会を企画していただきありがとうございました。(案内はこちら
おかげさまでやっとみることができました。

全ての子どもは地域の宝です。
全ての子どもの学ぶ権利を保障すること。これは憲法で定められている当たり前のことのはずです。
とはいえなかなかできてはいないその当たり前を普通の公立小学校で実現しているのが大阪の大空小学校です。

発達障害、家庭環境、みんな違うことを出発点に、生徒同士も、先生も生徒も親も地域のサポーターも対話を丁寧におこない誰も孤立させまいとします。先生どおしも学級王国に閉じ困らず、困りごとはすぐに相談して孤立していない。先生も生徒も地域の人も認め合い助け合い、みんなにそれぞれ役割がある。
学校が全ての人たちが学び合う場所になっています。

他の学校にいられなかったような一見してわかるような、自閉や多動などの発達障害の子や、貧困家庭の子どもたちも、対話と合理的配慮のもと一緒の場で学んでいました。
その子は変わっていなくても、周囲のみんなの見方がかわることで落ち着いてきて、学校にいられるようになります。
不登校やいじめゼロは目的ではなく、結果なのです。

対話に基づく配慮のないインクルーシブもどきは、簡単にネグレクトや虐待になりますが、誰一人置いてけぼりにしない真のインクルーシブってこういうことかなあと思いました。

特に木村泰子校長先生の生徒や若い先生への関わり方、特に聴き方(まず、いいところを伝える、選択肢を示す)、短い言葉で理由と望ましい行為を端的な伝える伝え方は実に参考になります。
さり気なく子どもたちどおしをつなぐのもすごい。
生徒や教師、保護者にも本当に信頼されているのだなあというのが伝わってきます。

ここ数年、大人の世界でも以前にもまして差別と排除が大手をふるういやな空気を感じるようになりました。
だれひとり置いてけぼりにしないと決めることで、どの地域もどの学校も大空小学校みたいにになれるはず。
そしてそこから地域社会はかわれるはず。

まず自分が出来ることからはじめようと思わせる映画でした。

 

 


「いただきます」は食育に取り組む福岡の高取保育園の物語。
日本人の体にあった伝統的な和食、有機野菜、玄米や納豆、味噌汁の発酵食品が中心でたくさんの生命を体にとりこみます。子どもたちはみんなエネルギーにあふれ、気持ちのいい食べっぷりです。

園児たちは毎年味噌をつくり、作り方を後輩に伝えていきます。
子どもたちも出来ることはする、それはイベントではなく仕事です。
同時上映の短編のGIFTは、ドラマ化もされた、はなちゃんのみそ汁と、その後話です。
がんで無くなったお母さんははなちゃんに味噌汁の作り方を教えました。
そのはなちゃんは高取保育園で育ちました。
こちらもおすすめです。

 

明日、9月30日にも「みんなの学校」と「いただきます&GIFT」の上映があります。
残念ながら午前中に予定されていた木村先生の講演は台風のため講師が来られなくなり、いただきますの上映になりますが松本マラソンも中止のようです。
雨で行くところのない方、是非お出かけください〜。

子どもたちの未来につながる日。あなたの中の何かが変わりますよ。

(といぴ)

木村先生の著作もいろいろあります。

もう5回目になる恒例のクラッシックコンサートなんですね。篠山Dr夫妻、鬼頭Dr夫妻、田辺Drに加え、今年は公家Drも。

小さなお子様、発達障害のお子さんづれでも大丈夫な雰囲気と思います。
無料です。是非、ご参加ください〜。

養護学校を卒業した子供達はどんなところで働いているのでしょうか?
今日は安曇野市にある二つの会社を見学してきました。

先ず最初に向かったのは株式会社 アストコが運営している今年三月に始まったばかりの「エコミットあづみ野」さん。

ここは就労継続支援B型事業所(一般企業で働くのが難しい方)です。
10代後半~60歳後半までの身体・精神・知的・発達障害の人が働いてます。
勤務時間は9:30~15:30までの4.5H。無理なく働くが売りのこの就労先では週2~3日や午前中のみという働き方が選べます。
毎日通所し作業に取り組んだ場合工賃は月最大約3万円になるそうです。
作業内容はパソコンの解体・金属のピッキング。施設外就労としてもったいないボックスの清掃・野菜加工・デイサービス敷地の清掃を行っています。
仕事内容については適正を考慮してローテンションを組んでいます。

アストコさんはエコミットあづみ野以外に就労移行支援事業 ブライト、働き方改革支援事業 サテライトワークも運営しています。

サテライトワークは法律で求められている「雇用、就労時における合理的配慮」をどのように達成するべきか、障害者雇用企業の困りごとの解決、障害者に
とって働きやすい職場創りをサポートしています。

ブライトでは障害者一人一人が、自分自身を理解し、自分に最適なカリキュラムを通じて、適切な就労に繋げる橋渡しをしています。

ブライトまつもとには研修工場があります。リサイクル(パソコンの解体)の仕事を教材として取り入れ、働くために必要な事を学ぶことができます。
基礎訓練では集中力・器用さ・作業効率・自信をつけます。
応用訓練では実際の仕事で求められる、指示の理解、判断能力や粘り強さを育成します。
業務上でも最も求められる報告・連絡・相談(ホウレンソウ)・ルールを守り働く力・安全に生きていくための力を身に着けます。

ブライトまつもと サテライトでは専門講師を招いての本格的な講座と、スタッフによる就職に役立つオリジナルカリキュラムを実施しています。
自分の興味のある講座から始めて、徐々に興味の幅を広げていくことができます。
ここではパソコン訓練(Word・Excelなどの基礎から応用まで)、キャリアコンサルタントを招いてのコミュニケーション訓練、松本大学准教授を講師にむかえてのビジネスマナー、ワークサンプルを活用しての作業訓練を受けることができます。

会社の使命として掲げているのは「明日輝くところを作る」。その通り活気ある就労先です。

二つ目は株式会社 ちくま精機さんです。
障害者雇用をしている創立50年、従業員148名の中小企業です。
部品を作る部署と製品を作る部署に分かれています。
本日は自社ブランドの生ごみ処理機のラインを見せて頂きました。

会社理念は「ANSINKAN」を提供する綺麗な会社。
ここで言う安心感は福利厚生・製品・納期・仕事環境です。
そして綺麗な会社(製品・経営・気持ち・社屋)に力を入れています。

就業時間は一日8時間。週5日の出勤です。
ブラザーアシスト制度(新入社員に先輩社員が一対一に着く)を導入して、一カ月ごとに問題点の洗い出し、対策会議をします。
コミュニケーションに不安がある人には教育計画を立て、皆が情報の共有をします。
そして一年後には独り立ちしていきます。
挨拶はもちろん、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)、五分前行動、休日はしっかり休み、休み明けに備える。
そして一番は本人の頑張りが成長となります。

今まで就労先とはイメージが違い、支援する方も働いている障害者も明るく楽しい感じがしました。
障害者の仕事は兎角3k(キツイ・汚い・暗い)のイメージが強いですが、明るく清潔感溢れる社内は新3k(きつさ、気配り、綺麗)これからの就労先のあるべき姿だと思います。

養護学校高等部3年になるとアセスメント実習が始まります。
沢山ある就労先の中から子供の特性にあった就労先を見つけ出さないといけません。
ここで大事になるのは母親のぶれないモチベーション、選んだ理由をきちんと計画相談の人に伝え一緒に考えることになります。本当ならいくつもの就労先でアセスメント実習ができれば良いのですが、現段階ではそれは受け入れする就労先側の問題、本人への負担を考えると無理な状況です。
将来的にはアセスメント実習した中から視覚支援カードを使いどの仕事がやりたい?と本人が自ら選び決められるようになると良いですね。

今回訪問した二つに共通していえることは皆が楽しく働いていることです。
今後障害者も日々輝ける企業が増えていくことに期待します。

 

今日は佐久の臼田あいとぴあで開催された信大付属病院 子どものこころ診療部医師の樋端先生の講演

「発達障害者のいない組織は滅びる」

~オモロイ感じの子をエエ感じの大人にする方法~を聞きに行ってきました。

会場は120名もの方々で満員御礼状態。さすがは樋端先生。人気あります。

先生の講演は切り口が斬新です。発達障害にネガティブなイメージある人いますか?数名の方が手をあげる。ネガティブになる理由として大人になった時の対処法がわからない、周りに協調できなくて苦しい思いをするなど。世の中の多数で求められてきているのは、場の雰囲気を読む、指示に従える。周りがそういう流れだからそうするのが当たり前。大人になるってそういうこと。流行語にもなったいわゆる忖度というものです。発達障害の人に忖度は通用しません。

定型発達の人の焦点と発達障害の人の焦点はそもそも別物なのです。ASD者は組織や社会集団の辺縁に存在し、自然の中で自分たちがどう生きていくかに思いを巡らしたり、職人として技を深めたり、アートで表現したり、異文化を繋いだりして人類の繁栄に貢献してきました。またADHD者は今この瞬間を生き、飽きっぽく、ひらめきすぎる。彼らは退屈な環境ではミスを連発するが、獲物を求めて冒険に出たり、開拓したり、想像したり、あるいは危機的な状況の時に力を発揮し、集団を救ってきました。彼らが居なかったら現在のようなSNSの普及には至らなかったでしょう。発達障害者はなぜ生きづらいのか?どう育てれば良いのか?どう生きれば良いのか?合わない環境、生き方は二次障害を引き起こす要因になる。適切な関りがなされないと、ひきこもりや、行動障害を引き起こす。発達障害の子どもの関り方のポイント。

・好きと得意を大切に

・苦手克服に拘らない

・伝わる方法でコミュニケーション

・多数派の流儀を押し付けない

・最低限の発達保証は意識

・スモールステップ

・親は思春期以降は子離れを

・支援付きの試行錯誤を。

早くから周囲が気づいて応援団になることの必要性(丁寧な子育て・親支援)十分な知識と余裕をもち、コミュニケーション方法を工夫して本人の気持ちに近づく。親・教師・支援者との相性(これは避けて通れない課題の一つでしょう)。

ASD者は拘りをマネジメントする、ADHD者は特性を知り工夫できるようにする。共通して言えることは「努力や根性では無く創意と工夫」。維持したい暮らしがあるとルールを守る、ルールを守ることで守られることを学ぶ。視覚的、具体的、肯定的に説明して先ずは同じスタートラインに立てるようにする。障害者差別解消法の合理的配慮でそれぞれにあった学びのスタイルを導入する。社会の中で生きるには自分でやれること、やれない事の見極め、ルールを守りやれないことは他者に相談して援助を求めることができる、天才だから仕方ないと仕方ないと周囲に諦めてもらうのか、対話で合理的配慮を得ていくのか、相補的なパートナーを見つけるのか、福祉的支援を得るのか。様々なスキルが求められるところです。

思春期以降は子離れするという子育て。親が先回りしない。進路は自分で選んで進む方向を決める(問題点は受け皿になる学校が少ないということ。本人に選ぶ余地が無いというのが現状)。課題の多い思春期を伴走し接続を丁寧に。サードプレイス・アフタースクールの充実を(地域での就労体験・余暇活動支援・性の包括的健康支援など)思春期で大事なのは親は徐々に手をひいて、自分で試行錯誤して選択する力、本人がやりたい事を出発点にする、一定のラインは親がひくが後は自分で。好きなことをやって生きる人が増えると世の中の流れが変わっていくのではないか?

樋端先生の通知表も織り交ぜながらユーモラスな二時間の講演。参加された方々はポジティブな気持ちで帰っていったことでしょう。

次回はたこ焼きを食べながらの講演を予定されているようです。こちらも楽しみですね。

こんにちは。上間春江(うえまはるえ)です。
わたしは、普段、子育て支援やスクールカウンセリングなど、
主に、子どもにかかわる現場でカウンセリングをしている
臨床心理士です。

わたし自身も、凸凹の差が大きく、
診断を受けたことはありませんが、
発達障害の自覚は、とっても、あります。
なにかと不器用なため、
子育て生活に突入してからというもの、
いろんなことがうまくいかずに、
行き詰ってしまった経験もあります(涙)

 

◆凸凹がありながらも、どうやってうまく生きていく?
9月15日の大人の発達障害あるあるラボの
座談会レポを行いたいと思います^^

すでに、レポートはいくつかありますので、
ここでは、後半の座談会についてのレポートを行います。

わたしがファシリテートさせていただいた座談会テーマは、
ずばり、「成功体験」!
凸凹がありながらも、なんとかうまくやっている
ライフハック術がテーマでした。

◆座談会はこんな風に進みました^^
わたしのグループは、わたしも含め13名の方が集まりました。
みなさんが聞きたいことを把握したかったこともあり、
自己紹介を兼ねて、どんなことを知りたいかお聞きしました。

◆みなさんから出た興味は、「仕事」が一番多かったです!
みなさんから、出た意見は、こんな感じ↓↓

・カミングアウトの成功体験
・仕事について
―ついつい、キャパ以上の仕事を背負い込んでしまうけど、
段取りをうまくやるには、どうしたらいい?
―得意なことややりたいことはお金にならず、
お金を稼ぐために苦手なことで就職すると続かない・・・
どうしたらいい?
―仕事での人間関係、距離感のとり方のうまいコツとは?
―仕事と日常生活のバランスのとり方とは?
・感覚過敏とどうつきあったらいい?

仕事についてのテーマが多く出ました。
大人になると、1日の中でも最も多い時間が、
仕事ですから、ある意味当然かもしれませんね。

◆こんな成功体験が語られました。
たとえば、段取りのつけ方として、
冊子をまとめる仕事についている方からは、こんな意見が出ました。

その方にとっては、情報があちこちに分散していると、
仕事がうまくはかどらない・・・という特性から、

完成版の冊子を、一度、仮で作ってしまい、
つど、未完成のページをそのつど作っては、
仮冊子とさしかえていく、
こういった手順でうまくいった、という報告がありました。

また、同様に、
ひとまず、しなければいけない仕事については
すべて、仮のファイルをPC上に作ってしまい、
未完了フォルダと完了フォルダに分け、
未完了のものから順々にこなす、
といった方法もよかったようです。

ほかにも、自分の特性を受け入れて、
自分ができる作業量のキャパと、
1つの作業にかかる期間の見積もりをつけられるようにして、
作業量以上の仕事は断るようにして、
無理をしない工夫をしている、
なんていうご意見もありました。

◆発達凸凹とうまく付き合うコツは、「自己理解」!
ほかにも、さまざまなライフハック術がたくさん出ました。
さまざまなエピソードに共通していたことは、
「自己理解」がうまくできている!
ということでした。

苦手さは苦手さとしてありつつも、
その苦手さを理解していれば、
どんな工夫をするとうまくいくのか、見えてきます。
そこをアイディアとして工夫されている方は、
成功体験につながるようでした。

凸凹のままでうまくいくコツをたくさん見つけて、
日々、心豊かに、幸せに生きたいですね。

凸凹ばんざい!

【ご参考】
▼発達障害に関する上間のほかの記事
https://ameblo.jp/happy-mirai-create/theme-10105333570.html

◆上間春江(臨床心理士)

▼ブログ:イライラママは、今日で卒業! 自分も子どもも幸せになる「自分軸」の育て方
https://ameblo.jp/happy-mirai-create
▼HP:教育コンサルティングオフィス 虹のかけはし
https://happy-mirai-create.jimdo.com/

たまには書籍の紹介もしてみたいと思います。

本書の主人公?でもある立石美津子さんからも、すすめられて読んでみました。
立石さんのお話を聞いてみたい人が集まれば、いつか当地にも親子でお招きしたいですね。


最近発売された「発達障害に生まれて」は幼児教育の塾を経営しながらシングルマザーで自閉症児を育ててきた著述家、講演化でもある立石美津子さんと自閉症の子どもとの17歳までの軌跡を小児科医でもあるノンフィクションライターの松永正訓氏が書き起こしたルポルタージュです。

自閉症児の母親である立石さんの親類、医療、教育の間で右往左往する体験、世間との軋轢、悔しい思い、そして「障害との自由」を得つつある現在までの経過が淡々と記述されており、読みやすくサラサラとよめます。
この領域では必読ともいえる名作のマンガ「光とともに」を彷彿させる経過で、いまだにそしてどこでも同じような道筋をたどるのだなあと・・。

不妊治療、胎教、英才教育と行ってきた母は当初は診断が信じられないと耳鼻科や児童精神科などドクターショッピングをし、診断をうけてからは複数の療育機関にも母子でせっせと通い、施設ごとの方針の違いに驚きます。保育園では周囲の子とのコントラストが強く苦しかったということですが、特別支援学校を選び進学するといきなり優等生になり生活課題が中心で本人もやっとのびのび過ごせ一息つくことができました。

しかし、それも東京都の指導主事が巡回のときに、集中して漢字を書いている様子を見られて、この子にとって適切な環境ではないと特別支援学校から特別支援学級に転校を指導されます。しぶしぶ通常の小学校の支援級に移り、しかしお金の計算もできないのに将来に役に立ちそうもない授業をうけさせられる羽目になりギャップに苦しむというのはなかなかない体験かもしれません。

地方在住者としては療育機関や医療機関、支援学校や支援学級などの選択肢が求めれば多いように見える都市部の様相も印象的です。それでも親が積極的にもとめないと必要な情報は得られず、迷える親子に密に伴走してくれる人はなかなかいなかったようで、救いとなったのはやはり親の会だったそうです。

親が子どもに期待するのは当然で、才能を見つけてあげなければ、サヴァンかもしれないとピアノやスイミングなどさまざまなことをさせてみるものの、本人は言われたことには素直には従うものの、興味が無いことはほとんど伸びません。

そうしてある時、子どもを変えようと親の理想を押し付けようとすればするほど、普通にしようとすればするほど、二次障害のリスクが高まることに気づきます。
思春期に入り不安が強まったのか親を巻き込んだ強迫性障害も併存します。

本人のこだわりに付き合いつつも、母はさまざまな体験をさせようと奔走して、理解があり配慮をしてくれたスイミングスクールとは大パニックを起こしてやめざるを得なくなるまで10年の付き合いになりました。少しずつだけれども出来ることも増えていき、意思を伝えられるようになり確実に成長しているのも見て取れて微笑ましいです。

特別支援学校高等部での職業訓練がはじまり、企業実習で一見つまらなそうな単純作業の反復で一生をおくるのは親は不憫で可愛そうと思いますが、本人はむしろ暇ですることがないのが苦しいといいます。そして何故か本人の興味は外出先でのトイレの型番の同定とコレクションに移り、トイレの音の聞き分けの達人となり、お金にもなりそうにもないが幸せそうです。

子どもへの理想が高く、健常児、天才児を望んでいたことから日々戸惑う母と、素直ではあるが、わが道を行き、時にパニックを起こして荒れる、自閉症の子どもとのとのギャップの描写には失礼ながらユーモラスな感じすらうけました。

親と子は別の人間、思い通りにはならないということ。「普通」という呪縛にとらわれないこと。本人の体験を認め、想像し、コミュニケーションを取ること。子どもを育てる中で親になっていくということ。これらは障害の有無に限らず一般の子育てにも共通する原則だと思います。(という意味で発達障害にかかわらず多くの人に読んでいただきたい本です)

今後、この親子にも、親離れ子離れ、グループホームや後見人など親亡き後の人生を考えて動きはじめています。今後は社会の中どう親以外の応援団をつくっていくのか、本人の幸せとは何か・・。親や周囲の動きとともに、本人の気持ちや体験を表現したものも掲載していただいた続編を読んでみたいと思いました。


立石美津子さんの著作

 

(といぴ)

平日ですが、2年前の信大の子どものこころ診療部セミナーでもきていだいた(レポート)、横浜発達クリニック、PEC研究所の吉田友子先生が安曇野市で講演されます。

10月18日(木)13:30〜16:00

安曇野市豊科学習交流センターきぼう 多目的ホール

とてもおすすめです。

 

以下、吉田友子先生の著作です。どれもおすすめです。

 

(といぴ)