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~大人の生きづらさについて~

講師はすべて18才以上の生きづらさを抱えた大人たちです。大人だからこそ言える事もある。どうぞ大人の生きづらさを知ってください。

対象:

支援者、家族、学校関係者、企業担当者(役場を含む)。自分の生きづらさのなんたるかを知りたい当事者や、発達障害に関心のある方も可

 会場:

長野県が中心です。1~4名程度を予定。

テーマ事例:

小中高の発達障害が根底にある長期の不登校や引きこもり問題、当事者の生きづらさを理解する、etc。

謝礼:

応相談

申し込み・お問い合わせ(担当上村):

お問い合わせフォームからお願いします。

会場、担当者名、主催元など、具体的内容を明記してください。追ってお返事します。

安曇養護学校の寄宿舎で企画された LGBT啓発講演家 長岡春奈さんのお話を聞いてきました。座って辺りを見回すと先生ばかり。発達障害に関係無いから、皆さん関心無いのか?いえいえ、話の内容はとても興味深く、ダイバーシティ社会とは何か?を改めて考えさせられる時間でした。

春奈さん今年50回目、最後の講演はお母さんと一緒。何とも微笑ましい光景です。

春奈さんが身体の性別と心の性別の不一致と気づいたのは保育園の頃。その当時は性同一性障害という言葉すら誰も知らない時代。どうして自分に男性性器があるのだろうか?どうして自分はスカートを履いてはいけないのだろうか?誰にも理解されない苦悩、いじめ、自殺未遂。

現在日本の人口の7.6%、LGBT推定人数は13人に1人。性同一性障害の人は身近にいるのです。あなたの職場にもいるけど、気が付かないだけかもしれません。差別用語、気軽に使ってませんか?キモイ、ハゲ、デブ、これも全部差別用語です。これを機に覚えておきましょう。

ここでいじめについて触れたいと思います。2017年 文部科学省調査では小学校 約31.7万件、中学校 約8万件、高校 約1.5万件、その他約0.2万件。いじめの種類では からかい、悪口、脅し 約78%、軽い暴力 約18%、パソコン・スマホの誹謗 約4%。自殺の割合は小中学生が断トツ。長野県の特別支援学校でも36件報告されています。

言葉やネットで人を殺せる(自殺に追い込む)時代になってしまっているのです。春奈さんは「おとこおんなだ」「物を隠される」

いじめ、差別、偏見、身体の性別と心の性別の不一致、自分が学校で生活したい性別で暮らすことが出来ない辛さ、周りからの圧力、人から受け入れてもらえない・人から理解されない切なさ、誰にも相談できない孤独感。

中学校の時の担任の先生からの一言「そう、人は一人じゃなければ生きていけるんだ!進路は一緒に考えていこう。」その言葉に救われたそうです。春奈さんは担任の先生のアドバイスで高校生活では性別を意識することなく過ごせた。何でも話せる女友達は心から理解してくれた。春奈さんは一人では無くなったのです。

父親の死から数年後、性同一性障害の治療を開始する決断をした春奈さん。母親に話をした時お母さんはとても驚いた様子でしたが「女になっても自分の子どもであることに変わりは無い。母と娘で今まで以上に仲良く過ごしていきましょう」と涙を流して理解してくれたそうです。寛大な心のお母さん。身内に理解されること。これ意外と簡単なようで難しい問題だと思います。

障害を理解するとは? 個人や集団間に存在する様々な違い、すなわち「多様性」「個性」だと認識する。
みんな違ってみんな良い!

国籍、文化、宗教、肌の色、障害者、男だ、女だ、LGBTだなど。みんなで共存することで、学校生活を楽しく過ごし、社会においては個々人が最大の能力を発揮することができる。

今の日本はダイバーシティ社会にはまだまだです。発達障害の認知度は高まりましたが、理解はまだまだです。凸凹のある子の凸を伸ばし、生かして有能な人材としてこれからもっと社会で活躍していけるような環境作りが大事だと思いました。

松本市の委託職員として働く傍ら、小中学校を中心に積極的に啓発活動をしている春奈さんはとても輝いていて心から美しかったです。

皆さんも機会があったら是非講演会へ足を運んでくださいね。

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こんにちは。上間春江です。
書いても書いても終わらない、「知ったつもりの発達障がい」レポ。
たった2時間の中で、いかに密度の濃いお話だったか、・・
レポを書きながら改めて感じております。

ラストのこの記事では、
知ったつもりの発達障害 
〜伝えあおう わかり合おう〜の当事者体験談のうち、

「発達障がいの診断をもつ2名の成人当事者さん」の
お話の様子を、レポします^^

**

保護者の立場からのお話のあとは、
成人当事者の方のお話が続きます。
成人当事者の方のお話は、上間からのインタビューで、
質問に答えていただくかたちで進めました。

お一人目は、上村聡美さん。

「発達障害あるあるラボ」の立ち上げメンバーでもある上村さんは、
認定カウンセラー資格を持ち、
塩尻市を中心に、発達障害の当事者の方の支援をしていらっしゃいます。

上村さんは、カウンセラーの勉強中、
発達障がいに関するビデオを視聴したことをきっかけに、
自分にぴったりの症状があると気づき、
受診したところ、ADHDとアスペルガー疑いという診断がついたそうです。

まずは、そんな上村さんが、
どのような困りごとがあるか伺っていきました。

上村さんの場合、困っていることは、主に3つ

1つめは、
「すべての音がまざって聞こえてくる」こと。

2つめは、
「短期記憶」が苦手で、短気記憶も苦手で、
言われたことをすぐに記憶できないこと

3つめは、
「みんながわかるような暗黙のルールが、
なかなか理解できないこと」

です。

このような困り感をもって生まれた上村さん。

とにかく、子ども時代には、

「いじめられて嫌われていました」

これは、困っていることの3番目と関連するのですが、
暗黙のルールが理解できないために、
ご本人には悪気のない行動で、
対人関係のトラブルにつながってしまったようです。

また、親御さんの理解もなかなか得られず、
ご両親から、とても厳しい言葉を浴びせられていたようです・・・

聞けばきくほど、切ない子ども時代を過ごされた上村さん。

いつしか

「自分は、憎まれるために生まれてきた」

というイメージを心の中に強くもってしまったようです。

そうなると、ご自身の言いたいことをまわりに伝えることができず、
コミュニケーションがうまくいかないことが起きていったようです。

思い返せば、理解してくださる人もいたものの、
そういう方に出会うと、嬉しさのあまり、
「いっぱい話過ぎてしまい」
いい塩梅の距離感をもつことが難しかったようです。

たくさんの辛さを体験しつつも、
「発達障害あるあるラボ」を立ち上げ、
同じような境遇の人たちを支援していらっしゃる上村さん。

最後に、
発達障がいの特性を持つ立場から、
どんなサポートがあると生きやすく生活できるのか、
尋ねてみました。

かえって来たお答えは・・・

「自分をそのまま受け止めてくれる人」の存在

でした。

発達障がいの方は、悪気なく、
みんなとずれたことをやってしまうことも
あるかもしれないけれども、
そこを含めて受け止めて、
軌道修正や納得できるような指示を出してくれるなど、
丁寧にこだわりをほぐすようなかかわりがあると
過ごしやすい、とのことでした。

まさに、前半の樋端先生の主張である

「個別に配慮された丁寧な環境」

に、つながる論点です。

障がい特性を持つ人たちの
「感じ方」「理解の仕方」を理解しながら
「努力」や「根性」を一方的に押し付けるのではなく、

凸凹のままでも過ごしやすくなる「創意」と「工夫」が、
相互に求められるのだなと考えさせられます。

**

そして、当事者の語りのラストを飾るのは、
木村あきらさん。

ADHD,ASD,LDの診断を持つあきらさん。

それぞれの障がい特性ゆえに、
日常では、困り感がたくさんあるようです。

例えば、

ADHD特性からくるものとしては・・・
・単純な仕事は、あきやすく落ち着きがなくなる
・衝動性が強く、上司と衝突しやすい
・あきると途中で、気になることをしはじめる

ASD特性としては、
・暗黙のルールがわからない
・話の全体の内容よりも、細部のキーワードが気になり、話の筋が理解できない
・矛盾したことが苦手
・納得しないと動けない
・おかしいと思うと、どんどん質問する
・忖度、謙遜、遠回しの表現がわからない

LD特性としては、
・板書が苦手
・聞きながら書くことができない
・映像思考(聞いたことを、映像にしてから文字にする)
⇒イメージできないものは、返還できず、混乱する
・読み書きが苦手
・文章を見ているとチカチカ動く
・ノートの線が浮き出るなど、読みにくい

原稿。時間不足で飛ばしてという事態にパニックに
フリートークのほうが得意だったかも

こうした障害特性を聴いているだけでも、
あきらさんが、普段どのように物事を感じ、
処理しているのか・・・
独自の世界を生きるあきらさんの様子が
イメージされます。

と同時に、そのような世界で生きるあきらさんが、
とっても困難を強いられることが、
容易に想像できます。

しかし、悲しいことに、
あきらさんの子ども時代は、
理解者になかなか恵まれなかったようです。

お父さん自身も同じような特性があるために、
よく言い合いになり、
おかあさんとは悪い関係ではなかったものの、
世代的に、「障害」というものへの偏見が強く、
ご自身の特性を理解してくれる、
という環境にはなかったようです。

また、学校での理解もなかなか得られず、
特性からくるできなさについて

「ただただ、叱られることが多かった」

とのこと。。。

曲がったことが大嫌いなあきらさんにしてみれば、
ご自身にも理由があっての行動が
理解されないことが、どれほど辛かったか・・・

時には、
「自分は悪くないのに」と思いながら
教室を飛び出すこともあったそうです。

とはいえ、先生の中には、
ちゃんとあきらさんの言い分も聞いてくれた先生もいらしたそうで、
そのような先生が担任だったときには、
とても過ごしやすく生活できたようです。

南沢さんや上村さんのお話とも通じますが、

やはり、「あきらさんの立場に立った理解」を
してくれる方がいるのか、いないのか・・・

これにより、発達障がいを抱える人の
過ごしやすさには、大きく影響することが窺えます。

さて、そんなあきらさんのお話、
まだまだレポしきれない様々なエピソードがあったのですが、
ここでは、最後に、あきらさんからのメッセージを
お伝えして、しめたいと思います。

ずばり、最後に伺ったことは・・・

「発達障害のある人の周囲にいる人に伝えたいこと」

です。

あきらさんのお答えは、こうでした。

「障害特性によりできないことは、
ただ怒られるだけでは、恐怖感が残るだけで、
決してできるようにはなりません。

また、できないからといって、代わりにやるだけでも、
できるようにはなりません。

では、どうしたらいいのか?

できないことがあったとしたら、
なぜ、できないのか?
そこには、必ず理由がありますので、
その理由を突き止めた上で、
「こうすればいいんだよ」と具体的に
やり方を教えて、できるように導く。

こうすることで、できないことでも、
できるようになります。」

何度いったら、できるようになるの!?

ついつい、わが子とそんなバトルになってしまうお母さんは、
あきらさんのおっしゃるような視点で、
お子さんんことを見返してみると、
何かヒントが見えてくるかもしれませんね。

子育てにも通じる大切な点を
教えていただけたように感じました。

**

ということで
4通にわたったレポ記事が
ようやく終わりました。

当日来れなかったかた、
少しでも雰囲気が伝わっていれば、うれしいです。

**

【この記事を書いた人】

上間春江(臨床心理士)

虹のかけはし/子どものミカタプロジェクト代表
https://happy-mirai-create.jimdo.com/

ブログ
https://ameblo.jp/happy-mirai-create

先日の安曇野市のイベントでは、長野県自閉症協会中信地区自閉症こぶしの会の南澤さんに、自閉症の子どもの子育て、そして親離れしていくまでの経過などをのお話をいただきました。

親には孤立せずに親の会などにつながってほしいというメッセージをいただきました。

こぶしの会も、なかなか新規会員(特に小さな子供の親)の参加も少なかったようですが、今後は、あるラボとも連携しながら、広く参加を呼びかけていきたいとのことです。

来年1月25日に、定例会を開催するとのことです。是非ご参加ください。

こぶしの会のウェブサイトはこちら

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こんにちは。上間春江です。

この記事では、
知ったつもりの発達障害 〜伝えあおう わかり合おう〜の当事者体験談のうち、
「発達障がいをもつお子さんを育てている3名のお母さんたち」のお話の様子を、
レポします^^

**

体験談のトップバッターは、河西ひろ子さん。

現在、小2になる次男君の障害認知〜療育〜小学校までの
子育てのお話をしてくださいました。

ひろ子さんは、母子保健を専門とする保健士さんでもあり、
発達障害については、「専門家」でもあります。

でも、そんなひろ子さんでも、
お子さんの「障害受容」には、5年もかかったとか・・・

お子さんの障害が、うっすら見えてきたのが、
1歳頃だったといいますが、当初は保健師さんからの
「医療を紹介しましょうか?」の声掛けは、
「そのうちおいつく!」と思って、
必要ないと思っていたんだそうです。

それでも、やはり、なにかが違う・・と思い至り、
支援を受けようと決意したのは、2歳のころ。
ここまで1年かかっているんですよね。

その後、2歳7か月から療育がスタートして、
小学校入学したころは、「よく訓練されていますね」
とおほめの言葉をいただくほど、成長できたとか。

「専門職」としての経験・知識があったとしても、
わが子となると、話は別・・という、
親のリアルな心情が伝わってきます。

とはいえ、早期に療育を受けられることで、
同じ境遇のお母さんたちとつながれたり、
お子さんのできることが増えるなどのメリットも
徐々に感じられたとか。

そんな紆余曲折の経験をもつひろ子さんが、一番伝えたいこと。

それは、・・・

「親子で悩んでいないで、外部支援者やわたしたちのような
ピアな人間につながってほしい」ということ。

「お子さん、医療につなげましょうか?」 とそのつながりを打診されつつも、
必要ないだろう、という経験もしてきたからこその重みを感じます。

わたしが、ひろ子さんのお話をきいて、素敵だなと思ったのは、

「障がいがある=烙印を押されるということではなく、
その子自身がより良い成長をしていけるように、
専門職も含めてみんなえ支援していくこと」

本当にそうですよね・・・・。

こんな風に思えないことも含めて、
いろんな人たちと協力していくことで、
きっと、樋端先生のいう「ええ感じの大人」になるのだと思います。

とはいえ、親として、そのことをすんなり受け入れられるかといえば、
それはまた別、というのもリアルな話。
ひろ子さんには、「障害受容」に至るまでの「お母さんの気持」について、
深く突っ込んで聞いてみたくなりました。

**

続いては、幅ひろ子さん^^

幅さんは、パワポを使って、
視覚を交えたとてもわかりやすいお話でした。

幅さんも、精神科看護師という経験があり、
看護の実践発表等の経験が豊富な「専門家」の一面も!

プレゼン技術は、ぴか一で、
話の内容もさることながら、スライドの作り方などにも
見ほれてしまった上間でした^^;

さて、そんな幅さんのお話は、

いうなれば、

「個別に配慮された丁寧な子育て」の超具体的実践版!

前半の樋端先生の講義を、
より具体的にイメージさせてくれるものでした。

お子さんへの支援の具体例をいくつか紹介しながら、
障がいをかかえるお子さんの子育ての様子をお話くださいましたが

わたしが、素敵だと思ったのは、学校の先生たちの対応です。

お子さんが好きなこと興味をもつことに寄り添った対応は、
本当にお見事!!

たとえば、廊下には、
お子さんが好きな「ウルトラマン」を使って、
「廊下を走らない」というルールを伝えている
張り紙があるそうなんですが、
「個別に配慮された丁寧な子育て」って
こういう小さなことの積み重ねなんですよね。

こういうことができる先生って、素敵だなと思いましたし、
先生たちがその支援をできるのは、
家庭と学校の連携が取れている証でもありますから、
こうした支援をしてもらえるようにした
保護者の幅さんも素晴らしいなぁと思いました。

幅さんには、保育園や学校との信頼関係や協力関係の作り方の具体的なところ、
たとえば、日ごろ、どんなやりとりをしているのか、
お子さんへの理解をどのように得ていったのか、
など、深く突っ込んで聞いてみたくなりました。

**

3番目は、南沢和美さん。

南沢さんは、自閉症のお子さんを成人期まで育て上げられ、
現在は、中信地区自閉症こぶしの会を運営していらっしゃいます。

南沢さんのお話からは、
「障害をもったお子さんを理解してくれる環境が、いかに大切か」、
ということが、とても伝わってくるお話でした。

南沢さんのお子さんは、保育園のころから、
パニック等がたえず、・・・
理解のない経験の浅い保育士さんとの間では
なかなかうまくいかないことが多く、
保育士さんが、辛さのあまり、
2人も退職することを経験されたそうです。

子どもも保育士さんも、きっと、どちらも悪くないのに、
理解のボタンが掛け違うと、
こんなに切ないことが起きてしまうのですよね・・・。

感じ方が違う世界を持つ子どもへの想像力をいかに養うことの大切さ、を
考えさせられます。

わたしが、南沢さんのお話を聞いて、本当にすごいなと思ったことは、
パニック等の問題行動に対して、一筋縄ではいかない大変さをかかえながらも
それでも、お子さんを理解しようとつとめ、
まわりの支援者にも粘り強く理解を求めながら、
お子さんの特性にあった環境を創り出してこられていてたことです。

特に、やっぱり、ここだよなー、と染み入ったのが、こちら。

「私たちと違う感覚の中で生きている息子が、
安心して楽しく過ごすには、
何が大切なのかを考えながら接することで、
パニックを減らすことはできました」

言葉で書くと、これだけですが・・・
それをすることは、簡単ではない面も多々あります。

それでも、粘り強く、まわりに理解を求めながら、
時に厳しいしつけも行いながら、
成人まで育て上げられた南沢さんのお話は、
参加者の方の涙を誘っておられました。

子育てで悩まれている方は、
さまざまな苦労を乗り越えてきた南沢さんの
「こぶしの会」、ぜひつながってほしいなと思いました。

ホームページもあるそうです^^

http://kobusinokai9a.seesaa.net/

**

以上が、発達障がいのお子さんを育てる
おかあさんとしての体験談でした。

おひとりおひとり、豊かなエピソードばかりで、
レポもなかなか大変です^^;

いったんここで、切りまして、
いよいよ、ラストは、成人当事者の語りレポです!

次に続く・・・

【この記事を書いた人】

上間春江(臨床心理士)

虹のかけはし/子どものミカタプロジェクト代表
https://happy-mirai-create.jimdo.com/
ブログ
https://ameblo.jp/happy-mirai-create

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この記事では、
知ったつもりの発達障害 〜伝えあおう わかり合おう〜の
内容について、レポします^^

●前半:樋端佑樹先生のお話

40分という時間の中で、36枚のスライドを用いて、
発達障害についての基本的なことを教えていただきました。

主要な論点は、こんな感じ。

●人間の発達について

●多数派と少数派の発達の特徴

●ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動症)、LD(学習障害)
DCD(発達性協調運動障害)などの具体的な障害について

●発達障がいを持つお子さんの子育てについて

子育て支援やスクールカウンセリングの場でも、
「発達」についてのご相談は、ダントツに多いのですが・・・

わが子が発達障がいがそうでないのか、にかかわらず、
先生がおっしゃっていた子育てについての論点は、
とても大切です。

わたしが、やっぱりここだよね! と思う点を3つ挙げるなら、

1.個別に配慮された丁寧な子育て

2.オモロイ感じの子どもを、ええ感じの大人に

3.努力や根性ではなく、創意と工夫

です。

要は、発達障があってもなくても、
お子さん一人ひとりの「個性」=「得意・苦手の特徴」のがありますから、その特徴を見極めて、
苦手なこと=できないことは、配慮と支援で、できやすくするサポートを、
得意なこと=突き抜けていることは、それが発揮される環境で、子どもの成長につなげる!

なんで、できないの!?
ではなく
どうすると、できるかな?

この発想です。

まずは、大人が子どもの個性を見極めて、
適切な支援をしていけば、
子どもは、自分を適切に理解していくことができます^^

自己理解があれば、できないこともなんとかやれるように工夫したり助けをもとめたりすることができ、凸凹があっても、凸凹のままで、なんとか生き抜くことができます。

先生のお話の中でも、
あ、いいなと思うことは、ぜひ取り入れていただき、
お子さんを「ええ感じの大人」に育てる輪を広げてほしいなと思いました^^

・・・そうはいっても、
自分の場合、どうしたらいいの? と思いますよね。

後半の当事者の方たちの語りに、
そのあたりの具体的なお話が満載でした!

次の記事では、座談会のレポを書きますね!

まだ続く・・・。

【この記事を書いた人】

上間春江(臨床心理士)

虹のかけはし/子どものミカタプロジェクト代表
https://happy-mirai-create.jimdo.com/
ブログ
https://ameblo.jp/happy-mirai-create

こんにちは。上間春江です。

今日は、本日安曇野市で開催された
「知ったつもりの発達障がい 〜伝えあおう わかり合おう〜」
のレポートを投稿させていただきます^^

今日の啓発イベントは、2部構成で行われました。

前半は、おなじみ樋端佑樹先生による
発達障がいの基本知識について。

ともすれば、難解な医学用語も、
イラストを交えたかみくだいた説明により、
「発達障がい」ってよくきくけど、どんなもの?
と全く知らない人にでも、
わかりやすかったのではないかなと思いました。

後半は、
発達障がいのお子さんを育てておられる
3人の「おかあさん」と
自らが発達障がい当事者として、
なかなか理解されずにつらいことをたくさん経験してきた
お2人の「成人当事者」と
5名の方から、リアルな体験談をお聞きしました。

5名の方のリアルなお話は、それぞれの個性が光る
非常に内容の濃いお話でした。

会場の方たちも、静かにうなずきながら身を乗り出して聞き入り、
時に、涙なくしては聞けないエピソードもあり、
真剣で白熱した様子が印象的でした。

あっという間の2時間でした。
来てくださった方には、それぞれに、
響くこと、多々あったのではないか・・・と思います。

**

わたしのもとには、今日行きたかったけれども、
市外ゆえに行けなかった・・
ぜひ、話を聞きたかった!

という声を、複数の方からいただいておりましたので、
次の記事では、おひとりおひとりのお話の要点について
ダイジェストでご紹介したいと思います^^

次に続く

【この記事を書いた人】

上間春江(臨床心理士)

虹のかけはし/子どものミカタプロジェクト代表
https://happy-mirai-create.jimdo.com/
ブログ
https://ameblo.jp/happy-mirai-create

5月と12月に恒例となった感のある、信州大学子どものこころ診療部セミナー(参加費無料、関係者は誰でも参加可)が開催されました。
今回は「発達障害のある大学生の支援」というテーマで、講師は信州大学学生相談センターの障害学生支援室長の篠田直子先生でした。

具体的で勇気づけられる素晴らしい講演でしたので、その内容の一部を、感想とともにシェアさせていただきます。

大学生の発達障害

大学のユニバーサル化、障害者権利条約の批准にともない障害者差別解消法などの法律も整備され、特に発達障害の学生への支援も増えており、全障害学生の15.8%が発達障害で、そのうちの7割がASDとのこと。

今やたいていの大学にも障害のある学生を支援する部署ができ、東大などでは専従スタッフを多数擁するなど力を入れていますが、長野県内にキャンパスが点在する信州大学でも専従の職員は一人であり、人手不足ではありますが、カウンセラーは各キャンパスに配置され保健管理センターや大学病院とも連携を取りながらチームで学生をサポートしているようです。

発達障害のある学生は、大学生活においても、臨機応変な対応ができない、認知や興味が偏る、コミュニケーションスタイルが独特、ミスや忘れ物が多い、片付けや段取りができない、読むことが極端に遅い、手書きとワープロで各内容が全く異なる(あるある(^_^;))などいろいろな困難があります。

発達障害の特性に関して講師の先生は「独特の脳内処理」という言い方をされていましたが、意識、認知、判断、読み書き(速度、記憶)、抑制制御、自他意識などに特徴があるそうです。そして、その特性はスペクトラム(誰でももっている特性の強さ、あるいは機能の弱さ)でありますが、その特性の強さと環境の特徴がミスマッチすることで障害状態になります。
他の問題から相談がはじまってもカウンセリング等でメンタルが落ち着いてくると、発達障害特性が明らかになる場合もありますが、二次障害によるものばかりではない他の精神障害や身体障害との併存も多いとのことでした。

発達障害特性のある学生でも環境にマッチしていれば適応でき、ユニークな学生になります。

一方で環境とミスマッチしていれば不適応、問題行動、二次障害をきたすことになります。
特に、高校までの生活では、なんとか適応できていた学生でも、大学環境とのミスマッチから問題が起きることがあります。
大学においては自己決定が重視されること、そして能動的な学習がもとめられるということがそれまでとの大きな違いです。

特に勉強はできても自己理解やライフスキルに欠けたまま、親をはじめとした周囲が本人不在のまま進路まで決めて大学に押し込んだみたいなケースが大変だろうなと思いました。ズルズルと学校にいけなくなり、結局退学して家居になり受動的だけど身動きがとれないようなケースも未だに多く経験します。本人の体験やモチベーションが一番大事ですが、それが普通でないと幼少時よりずっと取り上げてもらえなかった結果、学習性無気力状態となった受動の状態は大変です。
支援者としてはそこを出発点にするしかないのですが・・。

特性と大学環境とのミスマッチから起きる問題の例

・基盤となる生活が不安定(一人暮らし、寮など)➕自己コントロールの弱さ  →朝起きられず1コマ目の出席日数が足りない。
・自由度が高く構造化が低い➕プランニングの弱さ、実行能力の困難 →予定の詰め込みすぎ、実行不可能な計画
・対人関係も複雑(サークル、ゼミ、研究室など)➕コミュニケーションが苦手 →わからない部分を聞けない、グループワークや実習などの立ち回り方がわからない
・ 曖昧な中から、自分なりに論理を組み立てる課題➕読み書きの困難、論理的思考能力の難しさ、体験不足→レポートがかけない

支援に関しては、「失敗させて自己肯定感を下げる」ことと「失敗(体験)しないと覚えないこともある」のさじ加減が難しいとのことです。

入学後の適応差の背景に関して
特性が顕著でも幼少時より支援を受けてきた学生は、適応出来ているケースが多いとのことです。
これは、本人の(自己理解&対処スキル)➕(援助希求&周囲の合理的配慮(を求めることができる))からです。

問題にならずに修学出来ている学生
・入学後にすぐ支援を求められる。
・入学前に自己理解ができている(心理検査などを行い、自分のクセなどを知っている、自分なりの対応策を試している)

休学や退学、留年などになってしまう学生
・支援につながる時期が遅い(夏休み以後)
・配慮の必要な障害特性を特定することから開始
・自分から支援を求められない、求めない

支援の開始が遅れても、自己理解が進み大学で何をすれば良いかわかってくると一気に適応する人もいますが、支援の開始はやはり早いほうがいいです。
また入学前、入学直後、座学時代、実習開始、就活、就職後と求められているものも時期によって変化してくるので伴走は書かせません。
支援に関しては、見守り、教職員レベルの配慮、学科レベルの配慮、合理的配慮(文書発行を念頭に置いた調査)、大学が大学の責任として文書(依頼状)を発行しての合理的配慮。ピラミッド構造となっています。相談部署としては学生がこういう症状でこういう配慮を求めているが可能か、取りまとめて対話をしているそうです。

合理的配慮(多様性の尊重。ハンディ分は補いましょう)を求めることができますが、でもそこから先は自分次第。配慮は他の学生と同じスタートラインに立たせるところまでです。
また合理的配慮は一番最初は学生が申し出るところから始まります。(逆に言えば申し出なければ始まらない)
そして合理的配慮の根拠となる診断、アセスメント。本人の困り感、認知行動特性の評価をおこないます。
これには自己理解の促進につながる自己像の評価をするために大事な資料になり、強みと弱み、光と影を丁寧にフィードバックを行うそうです。

相談担当者としては、「目の前にいる学生が自分でやれたという感覚を持って卒業してもらいたい。」とのことでした。

具体的支援の例

課題提出期限延長。(期限は先生との話し合い)同時に二つのことをやることが難しい学生。
使用教室配慮。別室受験(センター受験でも増えている。人員配置など結構大変)
支持の視覚化(口頭だけではなく、メールやウェブ上に課題や資料。文書、板書による指示。ユニバーサルに喜ばれる。)
授業の録音板書撮影許可。
文字音声変換機器を使った発表の許可(選択性緘黙など)
発達特性の周知。

授業支援以外の個別支援としては情緒の安定と自己理解がスタート。プランンニングスキル、修学支援、就職支援、メンタル面の支援を行っているそうです。
生活支援としては、朝、起こしにはいかないが、起きるためにどうすればいいかの相談などは行います。
たとえばスケジュールのアラームの利用。予定の日と一日前に入れるなど、アイディアは本人の中に持っているとのことで、教えても出来ないものはできないとのことでした。必要なら障害者雇用、外部支援機関との連携も行いますが、自分の特性と社会との接点をキャリア教育の中で入れていくことが必要であり、また、ここに行けば安心という場所を作っていくことも大事だそうです。
それに関しては、障害を持った人だけに特化というのではない形でのワークショップ、グループ。ソーシャルスキル、ピアサポートなどを推進していきたいとのことでした。
大学のサークルとして「あるあるラボ」があってもいいかも知れませんね。

小さな失敗は必要です
小さな失敗は必要です。これは成長、自己理解のヒントになります。
親を始めとする周囲は先回り支援をできるだけしない、やってみたいことはまずやる、上手くいかなかった時に一緒に考え、自分なりの方法で解決するように試行錯誤すること。支援者側や親が我慢する、待つことが大事と強調されていました。

最低限の生活の自己管理は身につけてから来てね。
大学で対応できる範囲には限界ある。大学の門入るまではご自身、ご家族でやってもらいたいとのこと。
そして、大学生になったから急にできるわけではないので、一人暮らしや寮生活の選択は注意が必要です。
ライフスキルは大事です。学業よりもむしろこっちが先。

大学、学部の選択は慎重にしてね
不本意入学者、ミスマッチは大変です。
登り始める山をどう選ぶか?ということに関しては、ディプロマポリシー、シラバス、問い合わせ、オープンキャンパスなど利用してイメージをもって・・。
受験科目だけでの選択は要注意です。受験になかった科目の力ももとめられます。
また、人とあまり関わりたくないのに資格が取れるからと対人援助職のコースなどはやめてほしいとのこと。

小さな頃から選択活動をして、好きなもの、得意なものがあるか、自己理解をしているか、援助希求できるか、ライフスキルがあるかということが本当に大事ですね。

そして大学生活でも試行錯誤を通じて社会人になる前に。私のトリセツを作れるように。自己対処、援助希求ができること、信頼できる支援者を得ること・・。

支援者も、信頼、安心感をもてるように、なんでも一人でやらないようにすること。学生の強みを上手く引き出し、どれだけ工夫できるか・・。
学内にこういう部署があると本当に安心ですが、それを上手く使っていくためにも幼少期からの気付きと関わり、自己理解、援助希求があらためて鍵となるだなあと思いました。

次回の診療部セミナーは2019年5月18日で摂食障害をテーマに開催予定だそうです。

12月16日(日)午前に、安曇野市発達障害講演会(安曇野市主催、市民一般向け啓発イベント)が開催されます。
総論的な講演のあとパネルトークです。成人当事者のあるラボメンバー、親の立場からは、こぶしの会(自閉症協会中信支部)の方もお話しいただきます。
それぞれ医療、教育、行政の支援者の立場でもあったりもして、発達障害とそれを取り巻く社会についての理解が深まるかと思います。

ちょっと気になる、くらいの方にたくさん参加いただきたいです。

今回は、安曇野市民、在勤者対象で、12月10日(月)から14日(木)の8時半から17時までの間に安曇野市福祉課(0263−71−2251)に電話で申し込みが必要です。

安曇野市ホームページ

その後、あるラボでは12:30分から希望者は豊科公民館に移動して軽食とりながらミニあるラボ、打ち上げ、アフタートークを計画しています。
こちらは、どなたでもどうぞ。

よく晴れた初冬の日曜日。
諏訪湖畔の片倉館でマルシェ・ド・ノエルというワークショップやフリーマーケットの持ち寄りイベントが開催されました。
発達障害啓発週間に建物(高島城)を青く染めた諏訪のブルーライトアップの関係者が中心になっての実行委員会形式で開催です。

実は今年で3回目だそうですが、歴史と文化の片倉館での開催は初めてだそうです。
片倉館は岡谷の製糸工場などの工女の娯楽施設でもあった温泉入浴施設で、千人風呂で有名です。

今回は大広間を借り切っての開催でした。

かっこいい建物です。

工夫を凝らされた現代建築の塩尻えんぱーくなどもいいですが、松本の”あがたの森文化会館”や諏訪の”片倉館”などの古い歴史的な建物も味があっていいものですね。

 

ツリーなど素敵な建物でクリスマスにの飾り付けもなされ、地域に広く声をかけているのこともあり福祉系のイベントという感じのしないオシャレな雰囲気でした。
参加者も子ども連れを中心例年以上の大勢の参加者がありました。

手作り小物のワークショップ、物販、プラレールコーナーなど様々な持ち寄り企画があり、ステージでは様々な音楽の演奏が次々に。本格的なジャズや歌もありました。
子どもも大人もジャズっぽいトランペットのトトロで大興奮。

せっかくのイベントであり発達障害に関しての啓発をと依頼があり、あるラボなどのイベント情報や日常生活に役立つグッズなどを紹介するコーナーをつくって参加してきました。

各種パンフレットなどに、イヤーマフやノイズキャンセリングのヘッドフォン、フィジェット(ハンドスピナー、グニュグニュボール、石)なども試していただきました。子どもたちにも人気でした。
親子連れや支援の仕事をされている方などに対して、おめめどう®さんのコミュメモや巻カレンダーなどのグッズについても説明をしました。

「ASDの方には筆談は音声言語の10倍くらい伝わります〜。
選択肢をつけて聞いてくださいね。
見えない理由を説明してくださいね。
決まったコミュニケーションのツールがあると先生や支援者がかわっても型がきまっていいですよ。」
などと説明・・。

「知らなかったです〜。いいですね〜。」、と興味をもっていただけたようです。

 

スーパー心理士集団の子どものミカタプロジェクト(ミカプロ)のコーナーも・・。